どうも!千葉県在住の税理士よっしーです。2020年初投稿です。
昨年末に財務省から税制改正大綱が発表されました。
今回の税制改正は「課題解決型あるいは課題先取型の改正」と言われています。
その中心といえる改正は、主に法人税の改正に見られます。
ということで、今日はその法人税の改正から個人的に興味深いと思った改正を簡単に取り上げてみたいと思います。
■ オープンイノベーション税制
企業が新たな分野に投資をして高い生産性を見込める事業を行ったり、新たな事業を開拓するため、一定のベンチャー企業に対し出資をした場合、その出資額のうち一定額の所得控除を認めようというものです。
企業の内部留保を投資に回せば減税しますよというこの改正は、今回の改正の目玉と言えるものです。ただし、適用可能となるまでの要件が非常に細かいので、定着するかどうかは現時点では微妙なところかと思います。
■ 5Gを取得した場合の特別償却又は特別控除
5Gとは第5世代移動通信システムの略で、この5Gシステム構築は国家戦略の一つと言われているものらしいです。そのため携帯電話通信会社が設置する基地局だけでなく、企業が独自にその敷地内に設置する5Gについても、減税を認めようというものです。
■ 連結納税制度からグループ通算制度への移行
連結納税制度は、企業グループ全体を一つの納税単位として課税する仕組みとなっています。2002年に導入され現在まで18年経過していますが、各社の損益通算や欠損金の通算というメリットがあるにもかかわらず、計算の複雑さ等のデメリットが際立ってしまい、この制度をあえて選択していない企業グループも多数存在するようです。
そこで今回の改正によって、損益通算や欠損金の通算というメリットを維持しながら、企業グループ内の各社を個々の納税単位として法人税申告を行おうという方向に移行するようです。これをグループ通算制度といいます。
■ 企業版ふるさと納税の延期
企業版ふるさと納税は、適用期限が5年延長されるとともに、税額控除限度額の上限もさらに拡充されています。具体的には法人税の実効税率をベースに考えてみると、支出寄附金の額の約60%減から約90%減に軽減割合が増加しています。
■ 電気供給業に係る法人事業税の課税方法の見直し
発電事業や小売電気事業の法人事業税・特別法人事業税について、収入金額を課税標準とする収入金額課税が行われていると思いますが、この課税方法の見直しがあります。
法人事業税については、現行では2019年10月1日以後開始事業年度の普通法人等であれば、資本金の額にかかわらず収入割×1%となっていますが、2020年4月1以後開始事業年度からは以下のように変更されます。
① 資本金1億円超の普通法人
収入割 0.75%
付加価値割 0.37%
資本割 0.15%
② 資本金1億円以下の普通法人等
収入割 0.75%
所得割 1.85%
特別法人事業税については、現行では基準法人収入割額×30%となっていますが、これが基準法人収入割額×40%に変更されます。変更時期は法人事業税と同様です。
主な業種は電気供給業ではなくともメガソーラーを設置して売電収入を得ている方も多いでしょう。なので、売電収入だけは収入金課税で申告しているという方も多数いらっしゃることと思います。そういったことを考えると、今回の改正の意外な注目点と言えるかもしれませんね。
以上、拙い解説でしたが、参考にしていただけると幸いです。